−2002年11月度掲載−

◎ 税務上の 「交際費」 と 「寄付金」



税務上の交際費に該当する、該当しないの判断は 本当に実務的な問題です



1 交際費とは?


  • 交際費とは、法人がその取引先など事業に関係のある者
  • に対して、接待供応慰安贈答などを行うために支出
    するものをいいます。
  • 交際費は、企業活動を行っていくうえで必要不可欠な費用
  • とも思われますが、税法上はその支出が多額となるのを防止
    する為にその全額が損金不算入とされています。
             (資本金5,000万円超の法人)(改正→)

    < 交際費の具体例 >
     得意先等に対して行われる、酒食の提供などの接待費用
     得意先等に対して行われる、中元・歳暮などの贈答費用等


    2 寄付金とは?


  • 寄付金とは、法人が金銭その他の資産経済的な利益
  • 贈与、又は 無償の供与として支出するものをいいます。
  • 寄付金も、企業活動を行っていくうえである程度必要な
  • 費用であると思われますが、いたずらに法人が寄付を行う
    のを認めてしまうと、その分、法人が納める法人税額が減少
    してしまうこともあり、税務上、一定の損金算入限度額が設
    けられています。

    < 寄付金の具体例 >
     政治団体等に対する献金
     神社のお祭などに対する寄贈金
     子会社等に対する利益供与等


    3 交際費と寄付金の相違点


  • よく 交際費は「贈答」であり、寄付金は「贈与」で
  • あると言われます。
    「贈答」 とは、贈ることと返しをすることとされ、何らか
    の見返りを期待して金品等を贈ることをいいます。一方、
    「贈与」 とは、一方的に財産を与え、見返りがないものを
    いいます。
    すなわち、交際費と寄付金を区分する基本的な考え方とし
    て、下記のように定義できるでしょう。

    交 際 費寄 付 金




     法人の得意先・仕入先その他
     事業に関連する者
    (使用人を含む)
     事業との関連性がないか希薄
     な者




     何らかの見返りを期待して法
     人が支出するもの (取引関係
     の円滑な進行を図るため)
     見返り等の反対給付を期待せ
     ず、一方的に法人が支出する
     もの

    交際費等の成立要件 : @ 支出の相手方 A 支出の目的 B 行為の形態


    (交際費との隣接費用)

    「会議費」 と 「交際費等」の区分は?

    「売上割戻し」 と 「交際費等」の区分は?


    4 税務上の交際費(課税の公平のため)


  • 交際費の定義は、上記で述べた通りですが、法人が税法
  • 上の交際費に該当するものを、別の科目で処理をした場合
    交際費にならないとすれば、課税の公平を維持できなくな
    ります。
  • そこで、法人税法では、法人がどんな科目で処理をして
  • いても、税法上の交際費に該当するものを、申告書(別表)
    で集めてきて限度額を計算することとしております。


    資本金の区分による損金算入限度額 (→)

    原価に算入された交際費等の調整は? (→)


    実務における視点は?(事業上の経費かどうか?)(→)




    ≪法人決算に戻る≫  ≪事業に戻る≫


    税務上の交際費は、日常生活で使う”接待交際費”とは異なります。その為、書物での説明は、「福利厚生費と交際費」とか「広告宣伝費と交際費」とかいう様に、他の科目との違いから <税務上の交際費> を理解するようにしています。



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