◎ 贈与税の基本 (生前贈与)



贈与税の基礎控除額・共働き夫婦の共有持分登記等の考え方について



民法の規定
「贈与は、当事者の一方が自己の財産を相手に与える意思を表示し、相手がこれを受託する意思を示したことに因って、その効力が生ずる。」
 


  • 税 法 上、  相続税は 相続人の遺産取得に対して課税されます。
     そこで、もし 生前に財産等を親族等に贈与してしまえば、 相続税は 納めなくて済んでしまうという事になるので、 贈与税は、相続税の 「補完税」 的な立場で、相続税法の中に規定されています。


  • 贈与税の納税義務者・・・・原則として、個人からの贈与により 財産を取得した個人
                 (法人からの贈与については、所得税 <一時所得> が課税されます)


    贈与の形態 と 財産の取得時期・・・贈与を受けた年の翌年3月15日迄に申告・納付

     贈 与 の 形 態   財 産 の 取 得 時 期   (い つ 課 税 さ れ る か)
    書面による贈与  その贈与契約の効力が発生した時
         (引渡しがなされた時で判定される場合もある)
    書面によらない贈与
     (口頭による贈与)
     その贈与の履行のあった時
          (停止条件付贈与については、その条件の成就した時)
    農地等の贈与 農地の所有権の移転についての農地法の規定による許可又は届出
     の効力が生じた日



    贈与税の基礎控除 及び 贈与税額の計算方法

    (1) 平成13年1月1日以降の贈与から、基礎控除額が年間110万円 (従来は、60万円) に引き上げられました。
    この基礎控除額の引き上げは、20年余り、60万円に据え置かれてきましたので、これにより、相続対策として 生前贈与の効果も,格段に高まります。

    (2) 贈与税額の計算方法
         { (贈与された財産の価額) − 110万円 } x 税 率 = 贈与税額


    生前贈与 (最適贈与) の分岐点は? (→)

    贈与税率の改正 (平成25年度 税制改正) (→)



    ◆ こんな場合にも、贈与税が ・・・・・
    !! 贈与があったものとして、取り扱われますので ご注意を !!

  • 親などから、借金をしたとき
  • ・・・・「あるとき払いの催促なし」 「出世払い」のような借金
  • 妻 や 子の名義で預金したとき
  • ・・・・親 や 夫の収入金を、子 や 妻の名義で預金
  • 財産の名義を変更したとき
  • ・・・・不動産 や 株を 無償で名義変更
  • 買い入れた財産を、妻 や 子などの名義にしたとき
  • ・・・・親 や 夫が買い入れた不動産や株を、子 や 妻の名義にした場合

  • 妻所有名義の建物の増改築費用を、夫が負担したとき
  • ・・・・経済的利益の供与 や 債務の減少も 「みなし贈与」 となる

  • 共働き夫婦の住宅取得資金 及び ローン
  • ・・・・夫婦の預金や収入で、住宅を取得し ローン返済を共同でしながら、夫の単独名義で登記

    ※ (考え方 : 夫婦の一方が、婚姻前から持っている財産 及び 婚姻中に自分の名前で取得した財産は、
    各人の個人<固有>財産とされます。)※
    夫婦も、税務上は一身同体ではありません


    「共働き夫婦」 に対しての提言・・・・離婚を想定して結婚するのではないが、
    ≪ 自分のものは自分の名義に ≫ しておくことが望ましい

    ※※住宅を購入する場合、妻の収入からもローンを返済できるのなら、妻を連帯債務者とし、
      共有名義にしておく※※
    ⇒ <負担した資金の割合=住宅の持ち分割合> とする

  • 夫婦ともに所得税の住宅ローン控除を受けることができる
  • 住宅を売却したときは、夫婦それぞれに3000万円特別控除の適用可



  • 贈与税について、更正等の期間制限が6年(改正前3年又は5年)に延長されました
    (相法 36条)




    ≪保険料の贈与に戻る≫  ≪金銭贈与か?物件贈与か?に戻る≫

    ≪(企業)事業承継に戻る≫  ≪贈与税の配偶者控除に戻る≫  ≪財産に戻る≫



    民法上の贈与は 契約ですが、 相続税法上の贈与は 契約 とか 承認 とかの理由は必要ではなく、結果として ”利益の享受” があれば、課税されることになり 又 ”みなし贈与” に該当することもあり注意が必要です。 一方、贈与は他人間では殆ど無く 親子間・親族間で問題となります。
    尚、不動産、株式等の名義の変更があった場合には、贈与があったものとして取り扱われます(推定されます)。




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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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