〜温泉水を運べ!〜


あらすじと設定

冒険を終えてシルバーリーブに帰る途中に寄った温泉街で旅館の主から依頼を受けます
依頼内容は、山の中の温泉街から温泉水を兄の住んでいる海の町へ届けて欲しいというもの
前に温泉水を運ぶおつかいをやったことのあるパステルたちは大丈夫でしょうと引き受けることにします
果たして無事に温泉水を運ぶことができるのでしょうか


キャラクターレベル、2〜5くらい
モンスターのレベル、体力などの数値はキャラクターレベルにあわせて作ってください



1.依頼

冒険の帰りの道中、山奥の温泉街スリモを訪れたパステルたち
山に囲まれた風情豊かな温泉街は周りの景色も美しくとても空気が美味しい
流れる川は澄んでいて川底の小さな石ころも見える
町の人々の話によると川も温泉の成分が含まれており歩いて空気を吸っているだけで健康になるそうだ

パステルたちは、冒険の疲れを癒すため温泉旅館に泊まることにする
旅館で出された山や海の幸を堪能し、満天の星空をみながら露天風呂を楽しんだ
温泉から出て一休みしていると、旅館の主である青年が地元の美味しいフルーツ牛乳を持ってきた
お風呂上がりのフルーツ牛乳は格別に美味しいが、ここのはさらに美味しい

フルーツ牛乳を美味しそうに味わっているパステルたちに青年が依頼をする


「あのう、あなたたち、冒険者ですよね?ちょっとお願いしたいことがあるのですが…」

青年の名前はササ
サラリとした黒髪で、優しそうな顔をしている
ササは親から継いだこの旅館を経営していて、ここの料理も作っているという


ササの依頼はこうだった
ササには兄がいる
名前はハマ
ハマは子供の頃から憧れだった漁師になるべく数年前にここから離れた海の町、オールラへ移住した
ハマはこちらに月に2回定期的に海の幸を運んでくる
先ほど堪能した海の幸は、ハマが持ってきたものだという
そして、ハマは帰りにここの山の幸や温泉水を海の町へ持って帰る
スリモの温泉水は、飲んでも健康になるので持ち帰り家で料理などに使ったりするのだという

しかし、本来なら数日前に来る予定のハマが来ないのだという
仕方ないので、こちらからハマのいる海の町へ山の幸や温泉水を運ぼうと思った
だが、自分は一度もこんな大荷物を運ぶことをしたことがない
山の幸だけ運ぶならなんとかなりそうだが、温泉水は難しそうだ

どうしようかと思案していた時、旅館に宿泊しているパステルたちが冒険者と知る
中に運搬業の冒険者もいると聞き、依頼しようと思ったのだ


「温泉水をこの瓶に入れて、運んでほしいのです…」
差し出した瓶は500mlくらい入る瓶
それを200個出してきた

依頼料10000Gと、無事に運べた一瓶各100G追加という形だ


「ぼくは、山の幸を後から運びます。その時に報酬をお支払いします。」
ササは、ぺこりと頭を下げた

前に、温泉水をヒールニントからシルバーリーブに運んだことのあるパステルたち
なんとかなるでしょうと、依頼を引き受けた
翌朝、ノルの台八車にしっかりと温泉水を乗せて出発した


※温泉水は、1瓶飲むとHPまたはMP、選んだ方を5回復するアイテムとしても使える





2.山の中で

ササから貰った地図を見ながらオールラへ向かうパステルたち
道は一本道で迷うことはないが、とても険しい
標高の高い山道で、少し空気が薄くちょっと息をするのがきつい気がする
耳がツンとしてしまう
山道もぐねぐねとと曲がりくねっており、さらにとても狭く、乗合馬車が走れるような広い道ではない
ノルの台八車がようようと通れるような道ばかりだ
時折、足を外すと真っ逆さまに落ちそうな崖っぷちな道もある

なるほどこんな道だから、大きな物流専門の馬車に乗せて運べなかったのか
個人で運ぶしかなかったのかと、納得した


瓶を落とさないようにドキドキと狭い山道を歩いていると、少し奥の方からギャアギャアと声が聞こえた
少し木々の間から見えた光景は、一匹の雪狼がゴブリンたちに襲われているようだった



 ここで選択ができます

 →雪狼を助ける
 →こっそり逃げる




・雪狼を助けるを選んだ場合

山の中の広いフィールドで戦えるので前列、後列の人数制限なし
1ラウンド目、先行ができる

モンスターはゴブリン5体

1ラウンドごとに温泉水が1瓶割れてしまう

助けることに成功したあと、雪狼がパステルたちに懐いてついてくる




・こっそり逃げるを選んだ場合

 各々の敏捷判定、俊敏+2D6で成功値は5

 ただし、ノルだけは成功値15とする
 (温泉水を乗せた台八車分、不利なため)


 逃げることに成功した場合、温泉水は割れない


 逃げることに失敗した場合、戦闘となる
 モンスターはゴブリン5体
 1ラウンド目、ゴブリンの先行となる

 戦う場所が狭い道になるので前列に二人のみ
 ゴブリンはフィールドに有利で、前列後列の人数制限がない
 温泉水が1ラウンドごとに2瓶割れる





3.花の楽園で


しばらく歩くと、広い開けた場所にでた
そこには、様々な花々が咲いており、まるで花の楽園だ
色とりどりの花々、様々な花の香り、見ているだけで居るだけで癒される
木と花と遠く見える山のバランスが絶妙に芸術的になった丘があり、その景色はとても美しく壮大だ

2つのイベントが発生します


※宝箱を見つけるイベント

トラップが感覚判定
 感覚+2D6が9以上なら木の下にある宝箱を見つけることができる


  ・宝箱を見つけた場合
 トラップが器用判定
 器用+2D6で12以上なら宝箱を開けることができる
 (チャレンジは何度もOK)
 宝箱からでてくるのは、アイテム、コールドスプレー10個
 コールドの魔法と同じ効果がある

・宝箱を見つけられなかった場合はこの宝箱を見つけるイベントは終了します




※花のジュースを獲得するイベント

ルーミィが感覚判定
 感覚+2D6が10以上ならば、花の妖精を見つけることができる

・花の妖精を見つけることができた場合

「ようこそ〜。その水はなあに?」
にこにこかわいらしい黄色の花の妖精たちがルーミィに話しかける
どうやら温泉水に興味津々のようだ
体にとってもいい温泉水だよと教えると

「そうなの!?ねぇ、何本かここで採れる花のジュースと交換しない?」

妖精が差し出してきたのは、赤色のジュースだった
試しに飲ませてもらうとちょっと…いや、かなりすっぱいジュースだった
妖精たちの話によると、とっても美容によく、また体力や魔力の回復にもなるらしい

「温泉水1瓶と、花のジュース2瓶、交換しない?」

 どれだけ交換するかみんなで相談する
 温泉水の交換最大数量は10瓶まで



・花の妖精を見つけることに失敗した場合
 キットンが知力判定
 知力+2D6が12以上ならば、体力と魔力を回復することのできる花のジュースをつくるレシピを思い出す
 花のジュース1瓶作るのに、温泉水1瓶を使う

 花のジュースを作るかどうか相談する
 使える温泉水の最大数量は10瓶まで
 

 

 ※花のジュースは1瓶でHP5、MP5をどちらも回復するアイテムになる




・ルーミィ、キットンともに失敗した場合
 花のジュースを獲得するイベントはなにも獲得できず終了します







4.もう一つの依頼

山を下ると、磯の香りが風にのってきた
山の木々とは違う木々が生えている

遠くに海ととてもとても広い砂地が見える

砂地は遠くから見ると砂漠地帯のように見えたが、だんだん海の方へ近づいていくと砂漠とは違うことが分かる
ズルマカラン砂漠とは違った風景なのだ
どうやら風が砂を運んできてその砂が堆積して丘になった地形のようだ
広い広い海の砂浜といったほうが正しいのだろうか

木々も生えた場所もあり、小さな花も咲いているところもある
風が広い砂地に作り出した模様が様々で面白い
動物の足跡もちょこちょこあり、かわいらしい模様になっている
時折吹き荒れる強い風は砂が舞い上がり目や口に入ったりしてちょっと歩きづらい



砂地をしばらく歩くと、小さな町があった
その町がオールラだ
ササの地図に書いてあった家を尋ねると、ハマが笑顔で出迎えてくれた
海で日焼けした顔に白い歯がキラリと輝く青年だ
兄弟だけあってササとよく似ている

「おぉ!スリモからわざわざ、届けてくれたのですか!!ありがとう!」
ニコニコとして温泉水を受け取ったハマ

ハマにどうしてササのいるスリモに行けなかったのか尋ねると、曇った顔になる

「…最近、頻繁にスライムたちが現れるようになったんだ…」

内容はこうだ
ここ最近どこからかやってきた、はぐれスライムが住み着いてしまったらしい
そのスライムたちにハマの漁船を壊されてしまったのだ
漁にでることが出来なくなり、海の幸を捕ることができず、ササの所に行けなかったのだ
ハマはパステルたちが冒険者だと知り、スライムたちの退治を依頼した


依頼料は10000G




パステルたちは依頼を引き受け、ハマにスライムがたくさん現れる場所に案内してもらう
そこには、5匹のガラビアスライムがいた




・戦闘
 モンスターはガラビアスライム5匹
 弱点はコールド

 ルーミィのコールドの魔法で一度凍らせてから倒さないと倒せず増殖してしまう

 コールドの魔法が必要であることはキットンの知力判定でモンスターポケットミニ図鑑から探すことができる
 知力+2D6が12以上で成功

 成功するまでは、コールドをかけずに攻撃してしまい、スライムを増殖させてしまうこともある

 偶然コールドをかけて、動きが止まって、その弱点に気づくのもよいだろう



 凍らせてしまえば、ガラビアスライムは攻撃することができない
 なお、アイテムコールドスプレーを手に入れていれば、使用できコールドの魔法と同じ効果が得られる


5匹倒すと、また再びどこからか、ガラビアスライムが5匹現れる


えっ!?と戸惑うパステルたち
どうやら、ガラビアスライムたちの群れが住処からどんどん出てきているようだ
どこから、湧いて出てきているのだろうか…??
住処をつきとめてしまわねば、どんどんスライムが出てきて、キリがないようだ


※感覚判定  パステルたちは2D6+感覚
 GMは2D6を2回ふることができる
 合計数値がパステルたちの数値がGMより多かった場合、判定成功

 なお、雪狼を助けていた場合にのみ、パステルたちは2D6を3回ふることができるようになる
 雪狼も、くんくんと、ガラビアスライムの住処を一緒に調べてくれるのだ!


 住処を探すのに失敗した場合
 1匹のガラビアスライムが出てきてしまう
 成功するまで、住処を探す行動ごとにも1匹のガラビアスライムが出てくる

 ガラビアスライムと先頭しながら、ガラビアスライムの住処を探すことは可能である
 しかし住処を探すキャラは攻撃できない

 出現しているガラビアスライムすべてを倒してから住処を探す判定をしてもよい




判定成功した場合

ガラビアスライムたちの住処を見つけたパステルたち
そこには、親玉だろうか?
巨大なガラビアスライムがでで〜〜〜んといたではないか!


 モンスターは巨大なガラビアスライム1匹と倒せていないガラビアスライムの数
 探し出すまでにガラビアスライムを全て倒していた場合は巨大なガラビアスライムだけです

 巨大なガラビアスライムは通常のより、体力、攻撃力、回避率ともに大きく強めです
 巨大なガラビアスライムは凍らせても攻撃ができます
 巨大なガラビアスライムは凍らせるたびに、攻撃力、回避率が1づつ下がります





5.解決!

巨大なガラビアスライムがドドーーーンと大きな音を立てて倒れた

するとどうだろう…!!!
そこ衝撃で地面が割れて、ドドーー!と水が噴き出してきたではないか!!

水を触ると、温かい
どうやら、温泉のようだ


ハマは大喜びだ

「な、なんと!!ここにも、温泉地を作れそうだ!」
意気揚々と、オールラのみんなに報告すると、オールラの人たちも大喜びした


やっかいなはぐれスライムも倒され、また温泉も出たということで大宴会をすることになった
山の幸を後から運んで来たササも一緒に大喜びである

ササから残った温泉水の瓶数×100G、ササから追加報酬を貰えます
手に入れた花のジュースがある場合
 アイテムとして持ち帰ってもよし
 その場で一瓶200Gとしても売れる
 (とても珍しい花のジュースだったのだ)



「みなさん、お疲れ様でした…!!どうぞ、温泉につかってゆるりとご宿泊して行ってくださいませ。」
ササはなれた手つきで持ってきたのは山の幸とハマの友達が採ってきた海の幸だった
新鮮なご馳走をたらふく食べて、パステルたちも大宴会に参加する

また、オールラの町の人たち総出で、パステルたちのために簡単な露天温泉を作ってくれた

露天風呂からは花の楽園から見えた山を遠くに見える
近くに海も見える

なんてすばらしい景色なのだろう…
きっとオールラの町も採れたての海鮮料理やスリモから運ばれる山の幸の味わえる温泉街となり楽しめる町になっていくだろう
パステルたちは、そんな未来を想像した


遠くに聞こえる宴会の踊り節を聞きながら、露天風呂の湯船につかってゆったりとくつろぐのであった


おわり





MOMOの裏話。
pixivのフォーチュン・クエストRPGコンテスト参加作品です。

鳥取に行った時の経験を元に作られている世界観です
三朝温泉、三朝温泉の白狼伝説
花回廊に鳥取砂丘に皆生温泉

道中も自分が鳥取で走った道を思い出しながら書いてます
パステルたちにも鳥取の素敵なところ冒険してほしかったんじゃー!
ってくらい鳥取にハマってるのですよね(笑)

自分が経験したことをシナリオにしたら作りやすいかな〜と思って作りました

ちょっと今読むと自由度が少ないかな
ストーリーが決まっちゃってる感

でも書いてるときすっごく楽しかったです



 
作成日:2020年8月11日


(C)深沢美潮/迎夏生/角川書店/メディアワークス


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