〜温泉水を運べ!(仮)〜


「ぷはーー!!おいしいいー!!」
「ぷひゃー!おいしいいー!」
ひとっぷろの後のフルーツ牛乳は格別よね!

え?わたしたちが今どこで何をしているのかって?

ここはね、スリモタウン。
山奥にある温泉街なんだ。
町は川に沿って建ち並ぶ旅館たちがあってすごーく風情ある景色。
空気もなんだかとっても美味しいなぁって町を歩いていたら。
川も温泉の成分を含んでいて町を歩いているだけで温泉成分を体に取り入れることができるんだって町の人が教えてくれた。
健康にとってもいいみたいね。

わたしたちは冒険の疲れを癒すためにこの町の旅館に泊まることにしたんだ。
そこの料理はとってもすごいんだよ!
新鮮な山の幸がたくさん並んでいただけど。
なんとなんと!
山奥の旅館なのに海の幸も並んでいたんだ!
「こ、これ、お宿代に加算されちゃうのかなぁ…」
不安になって聞いてみたら。
なんとなんと!
旅館代に入ってるんだって!すごい!

たらふく食べた後は露天風呂だ。
旅館の露天風呂は満天の星空の下の露天風呂はとっても最高で。
疲れをとれるのはもちろん、お肌もすべすべでとっても気に入っちゃった。
しっかり疲れをとって、ほかほかになった所にあったのは小さな冷蔵庫。
旅館の人が用意してくれた温泉後の飲み物だ。
なんとなんと!
こちらも一人に一つサービスしてくれるらしい!すごいよね!
旅館なだけあって高いかなぁって思ったけど。
かなりサービスがあって、お値段以上の価値がある!
この旅館にしてよかったぁ〜〜。 そう思いながらぐびぐびっとフルーツ牛乳を飲み干してたところなんだよ。


「いやはや、お風呂上がりの牛乳は美味しいですねぇ〜。」
「あら、珍しい。キットンもお風呂入ってたの?」
「えぇ、珍しい成分のお湯も研究したいですしね。」

そ、そこなの?あいかわらずだなぁ…

「このフルーツ牛乳、すごい新鮮だね。」
「うんうん。」
クレイもノルもぐびっとお風呂上がりの一杯を楽しんでる。
「あれ?トラップは?まだでてないの?」
「あぁ、シロの体を拭いてたぜ…あ、来た来た!」
「しおちゃーん!きえいになったー!」
「ありがとしゃんデシ。真っ白デシ。」
「おいおい、おめーら、主役をまたずに一杯かぁ?」
「なんの主役よ?」
「そりゃあ、あの時、オレの大活躍がなければ…」
「あったっけ?」
「あっちゃっけ?」
「知らん。」
「わかりませんねぇ。」
「わからない。」
「ぼく、わかるデシ!えっと…トラップあんちゃんは活躍したデシ!!」
「うんうん、シロだけは見てくれてるぜ!」
「トラップあんちゃんも、みなしゃんも大活躍デシ!」

うう!!なんてケナゲなの…!!
ぎゅ〜〜!っと温泉でふわふわになったシロちゃんを抱きしめる。
「ルーミィも!ルーミィも!!ぎゅーー!!!」
「はいはい、ぎゅーー!!!」

温泉のあとに部屋に戻ると、旅館で働いている青年が布団を敷いてくれていた。
「あ、ありがとうございます〜!」
「いえいえ、露天風呂、どうでしたか?」
「最高でした!」
「おほしさま、いっぱいみえたおう!」
「空気が澄んでいますからねぇ〜。ところでみなさん男女同じ部屋でよかったんです?」
「あ、はいー!冒険中はキャンプしてたりすると同じ事多々ありますし…」
「金もねぇしな!」
「んも〜〜!それ、この間トラップがギャンブルで損したからでしょ!」
「そんなことあったっけ?」
「とぼけないでよぉぉぉぉ!!」
「あ、あのお。みなさん、冒険者さんたちなんですか?」
「あ、はい。こう見えても冒険者なんです。」
こう見えても、ってクレイ…
「あの、あの、ちょっとお願いしたいことがあるんですが。」
「お願い?」
「えぇ、その、兄の所に届けて欲しいものがありまして…」

青年は申し訳なさそうに説明しはじめた。


彼の名はササ
親から継いだこの旅館の経営者だ
ササにはハマという兄がいる
ハマは数年前に子供の頃から夢だった漁師になるためにここから離れた海の町オールラに移住した
そして夢を叶え、この旅館に月に2回ほど定期的に海の幸を運んできてくれているんだって

「あぁ、先ほど食べた海の幸はそのお兄さんが持ってきたものなんですね。」
「はい、そうです。そして兄はこちらの山の幸や温泉水を持ち帰るんです。」
「温泉水を!?」
「はい。スリモの温泉水は飲んでも健康になれるんです。ですから持ち帰って飲んだり料理に使ったりするんですよ。」
「へぇ〜。お互いそれぞれのいいところを分かち合えるっていいですね。」
「はい。ですが…」
ササの顔が曇り説明を続けた。


本来なら数日前にくるはずのハマが来ないのだという
お客様にお出しする海鮮類も減って足りなくなるかもしれない
あちらも山の幸などが足りなくなるだろう
心配もあるのでこちらから山の幸や温泉水を運んであげようと思いついたのだ
しかし、ササは一度もそんな大荷物を運んだことなどない
山の幸だけならばなんとかなりそうだが、温泉水は難しいだろう


「あぁ、なるほど、その温泉水を運んでオレたちに運んで欲しい、というわけですね?」
「はい、とっても力が強そうな方もいますし…」
とササはノルに視線を移した。
「おれ、運搬業だからな。得意だよ。それに前にも温泉水を運んだことがあるんだ。」
「あぁあ、そうなんですね!!なら、お願いしたいです、ぜひとも!もちろん依頼料はお支払しますので!」
「ほーん?いくらだ?」
目を輝かしたのはもちろんトラップ…
だけじゃない、わたしたちみんなだ。
そりゃあね、万年ピーピー、いやほとんど赤字パーティだもの。
今回の旅館もさっき言った通り、お金がなかったからみんな同じ部屋にしたけど。
本当なら部屋分けたかったもんねー。


トラップとササののやりとりの末、決まったのはと言うと。

依頼料として前金10000G
温泉水は一瓶無事に運べた数×100G


すごい、すごいぞ、トラップ。
この冒険での大活躍は残念ながら思い出せないけれど、ここで大活躍じゃない!
見直したぞ〜〜!


「では、明日、出発ということで。お願いします。今宵はごゆるりとお休みくださいませ。」

つづく?





MOMOの裏話。
pixivのフォーチュン・クエストRPGコンテスト参加作品を文章化してみております。

とりあえず第一まで文章化してみました。

本当に完結できるまで文章化できるのか謎なので、(仮)です。  
作成日:2021年9月12日


(C)深沢美潮/迎夏生/角川書店/メディアワークス


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