〜あるドラゴンのおはなし〜


時は数十年前のお話です。
オレロレン国とアレンナ国がシリル水を巡っての対立がはじまったという話をブルーラグーンドラゴンが耳にしました。
心優しいブルーラグーンドラゴンは、どうにかしてこの争いを無くしたいと思います。

そんな折、ある一人の男が現れます。
フードを目深にかぶっており、顔が見えない、見るからに怪しい人間でした。
しかし、昔、人間と友達になったブルーラグーンドラゴンは全く拒絶しませんでした。
その男はブルーラグーンドラゴンにひとつの木の実を差し出しました。
「貴方は国の争いを止めようとあまり寝てないみたいですね。これは疲れをとる木の実です。」
ブルーラグーンドラゴンは、その言葉に喜び、涙し、その木の実をぱくりと食べました。

しかし、どうでしょう。
その木の実を食べたその瞬間、ブルーラグーンドラゴンは意識を失いました。
意識が戻った時には、ブルーラグーンドラゴンが持っていた財宝がほとんど無くなっていました。
ブルーラグーンドラゴンは騙されてしまったのです。
さらに、ブルーラグーンドラゴンの体調は悪くなっていきました。
それは、オレロレン国とアレンナ国が憎しみあい、お互いの関係が悪くなるのと同じように悪くなっていきました。
体がだるいだけだったのが、時折咳がではじめたのです。
その咳と同時に紫色の霧が発生するようになりました。
その霧は意識を持ったように空へ海流へと広がり、悪さをするようになりました。
そして紫の霧を押し付け合い、憎しみを深めるオレロレン国とアレンナ国…
ブルーラグーンドラゴンの咳はさらにさらにひどくなっていきました。

時がたち、さらに状況は悪化します。
体調の悪いドラゴンの噂を聞きつけた人間たちが、ブルーラグーンドラゴンの元にやってきてはわずかに残った財宝を奪いに来たのです。
弱ったドラゴンを傷つけ、そして、目の前で人間たちが我先にと争いながら互いに傷付けあい、憎しみあう姿を見てブルーラグーンドラゴンは、人間への信頼を全く無くしてしまいました。
それどころか、全てのものを疑い、憎しむようになってしまったのです。
心優しいブルーラグーンドラゴンはいなくなってしまったのです。

その憎しみがまた病気を悪化させるものとはしらずに……






ブルーラグーンドラゴンに木の実を与えた男は、遠くで憎しみが増えていく様子を感じながらニヤリと笑いました。

 もっと、憎しみあい、不安になれ。
 そして、我が主君に力を。



このままではこの紫の霧はモンスター「フォグ」と姿を変え、不安と恐怖で世界を覆うでしょう。



MOMOの裏話。
はい。謎の行商人(フードを被った男)とからめてみました。
なぜブルーラグーンドラゴンが人間疑うようになったのか?を考えた妄想です。
紫の霧が悪影響も妄想カバーです。フォグになる前なのですよ。
このままずっと負の感情が増えると、モンスター完成!みたいな。

我が主君とは闇魔です。
木の実は災いの種で出来た木の実で、悪意を及ぼすものです。

謎の行商人は、オレロレン国とアレンナ国の争いを聞きつけ、さらに悪化させて闇魔の力にしようとした。
みたいな感じで。
もともとの争いは闇魔とか全く関係なしです。
魔法使いも闇魔と関係無し。
そういう感じが書かなくても伝わればいいかなぁと思います。



パステルたちは謎の行商人と面と向かって勝負じゃなくて、関係してたけど表にでないから知らないみたいな妄想です!

(2012年 1月1日のブログより)

 
ファイル作成日:2012年 2月 5日


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