* お花がうごいたよ? *





優しい息吹で蘇った草原はそよ風に揺れています。
チコリータは草原をもっともっと見たくて、お母さんの背中に乗りました。
 
『お母さん、お母さん、すごいよ、すごい!』
チコリータは、見渡す限り綺麗な草原にうっとりです。
 
おや、先ほど飛ばされたハネッコたちがピョンピョンと跳ねながら戻ってきたようです。
 
『ありがとう、ありがとう!』
『僕たちの居場所を元通りにしてくれて、ありがとう!』
ハネッコたちはとても素敵な笑顔です。
 
チコリータはその笑顔をみて自分も笑顔になりました。
やっぱり、笑顔が一番大好きだなと思いました。
 
ふと、草原が動きました。
チコリータはおや?と動いたところを見つめました。
 
すると、どうでしょう!
 
ポン、ポン、と今まで見たことのない花が咲いてゆきます。
『お母さん、お母さん!お花、お花が咲いたよ!』
チコリータはポンポンとお母さんの背中で跳ねて報告します。
お母さんはそんなチコリータを優しく、だけどちょっと困った顔で見つめ言いました。
『こらこら、そんなにはしゃいだら、落ちちゃうわよ』
『はぁーい。』
チコリータは、跳ねるのをやめて再び草原を見ました。
 
新しく咲いた花がゆらゆらとそよ風に揺れています。
ふと、その花の二つがチコリータの目線を横切りました。
 
『あ!お母さん!』
『なぁに?』
『あのね、あのね。お花が、うごいたよ?』
 
 
それは、そよ風のいたずらでしょうか?
それとも、ハネッコたちを見間違えたのでしょうか?
 
……それとも………?






左リセット * 右リセット



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