* 僕等の生まれた日 *

そこは不必要な物が流れ着く場所。
ヒトが不必要としたものを、ただただ捨てていく場所。
ヘドロにまみれ、臭いはすさまじく、誰も近づこうとはしない。
近づくものは、不必要なものを投げ捨てるヒトだけであった。
その夜は、不気味な満月が出ていた。
赤く、輝く月夜だった。
そこに、異様なものがいた。
そこにいてはいけないものがいた。
そのものは、まっすぐ月を瞳に映していた。
体は月の輝きを反射して輝いていた。
ふと、そのものの下のヘドロが蠢いた。
ふと、そのものの上に何かが現れた。
二つの命が、生まれた。
そのものを挟んで生まれた命は全く違うことを思っていた。
そのものを挟んで生まれた命は全く同じ事を思っていた。
そのものは、何も無かったかのようにまっすぐ月を映していた。
****
なぜ、僕は捨てられたのか。
なぜ、君は僕を捨てたのか。
あんなに大切にしてくれたのに。
こんなにも綺麗なのに。
こんな場所に。
僕を捨てた。
わからない。わからない。
うらめしい。うらめしい。
僕は、君を探す。
君を絶対に探す。
絶対に、絶対に見つけてやる。
君を見つけたら僕は君とずっと一緒。
死ぬまで一緒。
どんな場所だって、どんな時だって。
今度こそ、ずっと一緒にいてやる。
うらめしい君と。
…愛しい君と。
新しい想い出を作って生きたい。
****
どうして、そんな顔をするの?
どうして、悲しそうなの?
こんなに綺麗な月なのに。
こんなに素敵な場所なのに。
同じ場所で。
僕らは生まれた。
わからない。わからない。
楽しいのに。楽しいのに。
祝おう、祝おう。
この日を祝おう。
これは僕にくれた、プレゼント。
君と僕はもう、ともだちだよ。
どんな場所だって、どんな風に思われたって。
僕は、君が大好きだよ。
ずっと、ずっと、一緒にいたい。
大切な君と。
…悲しそうな瞳をした君と。
新しい想い出を作って生きたい。
******
僕らの生まれ日。
僕らの生まれた場所。
僕らの想い。
左リセット * 右リセット
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