＊ 蘇生への息吹 ＊
チコリータはいつもお母さんと一緒です。
今日は、ちょっと遠くまでお出かけしました。
途中、枯れ果ててしまった草原がありました。
枯れ果てた草原でハネッコたちが泣いています。
しくしく。
しくしく。
『どうしたの？』
チコリータが訊ねました。
『しくしく。枯れちゃった枯れちゃった。』
『しくしく。綺麗な僕たちの居場所が枯れちゃった。』
ハネッコたちはそう言って泣きじゃくるのです。
『どうしよう？』
チコリータはお母さんを見ました。
お母さんは、チコリータをにっこり見下ろして言いました。
『大丈夫。きっとハネッコたちを笑顔にしてあげるから。』
そう言ってお母さんはふぅっと優しく息吹を草原に吹きかけました。
すると、どうでしょう。
見る見るうちに枯れ果てた草原が見る見るうちに蘇生されていったのです。
そんな光景をみたチコリータは一瞬ぽかんとなりました。
そして、思ったのです。
お母さんはすごいなぁ。
ぼくもいつか、お母さんみたいになれるかな？
だけど、ハネッコたちにとっては強い息吹だったみたい。
『うわわー！』
『うわわー！』
ハネッコたちは吹き飛ばされてしまったのでした。