雨
あぁ〜、もうっ!
どうして雨が降るかなぁ?
ついてなぁい。
旅館までは結構あるしさ。
買い物にでるんじゃなかったかなぁ?
でもさ、必要なもの買い揃えなきゃだめでしょ。
これから冒険に出発するんだもん。
傘持ってくればよかったのよ。
出る前曇ってたし。
なんでもって来なかったかなぁ。
「…トラップのせいだ…」
そうよっ!
アイツのせいだ!
「傘なんていらねぇ〜。」
とかいい加減なことぬかした。
もぅ〜、アイツの言うことなんて信じなきゃ良かった。
あれこれ考えてるうちに雨はどんどん酷くなる。
うわぁ、これじゃ傘なんて差しても意味ないんじゃない?
それなら、ぬれながら帰えっちゃおっかな?
思い切って屋根から出ようとした時。
「あんだよ、まぁだここにいたのか。」
「ひゃ!トラップ?」
「まぁぁぁた迷子になったのかと思ったぜ?」
「そ、そんなことよりトラップ!」
「んあ?」
「びしゃびしゃじゃない!」
「ああ…」
前髪や後ろ髪から雫が垂れ落ちてる。
服なんて体にぴっちゃりくっついちゃってる!
「んもう、ど〜して傘を差してこなかったのよ?」
「ん〜、パステルちゃんを心配して急いでたから〜。」
ウソだな。
こういうことするときは大抵ウソついてる時だ!
ちゃん付けはふざけてからかってる時だもん。
クレイの時もそうだし。
「どうせ、出た時には雨降ってなくて持ってこなかったんじゃない?」
と言うとトラップはぴゅ〜っと口笛ふいた。
んもう。
トラップの頭を小突こうと手を出すと、止められた。
「ちょっとぉ〜、手、冷たいじゃない!指なんて死んでんじゃない?」
とか言ったらひょいっと逃げられた。
ったくぅ。
「んで?どうする?」
「え?どうするって?」
「オレはこれから帰るかんな。一人で帰れっか?」
いじわるそうに見つめる。
「か、帰れるわよぅ。」
「あっそう。」
そういうとどしゃ降りの中をトラップは歩き出した。
…本当に一人で帰れるかな?
…まぁ、いっか。私もぬれて帰ろ〜っと。
「ちょっと待ってよう!トラップ!」
私は大粒の雨をうけながらトラップの背中を追った。
トラップは振り向き意地悪そうに笑った。
あぁぁぁ。
どうせからかわれるんだ。
別にいいけどねっ!
END
ファイル作成日:2002年10月22日
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