BURST

上目づかいでトラップを見る。
…やっぱり変だ!
だってだってだってだって!
にへらぁ〜って気持ち悪い笑顔なんだもん!
も、もしかして、キットンに変な薬でも飲まされたんじゃぁ…!!

「と、トラップ、大丈夫?」
恐る恐るトラップに尋ねると気味悪い笑顔のまま私を見つめた。
ひぇぇ〜、怖いよう。
「パステル!」
「は、はい?」
「今まで苦労かけたよな!」
「…はぁ?」
「これからは、いい暮らしをさせてやる!」

…変だ、変だ、変だっ!
もしかして熱でもあるんじゃ…!
50度越すような熱でもうろうとしてるのよ!
「ちょっと、おでこ、借りるわよ!」
へんてこな言葉でトラップのおでこに手をあてる。
へ、平熱だ。
いつもと変わらない。
…ということは、キットンの薬説、可能性大!

あたふたしていると、トラップが私の肩を叩いた。
「なぁぁぁんてな!」
べぇぇっと意地悪そうに笑った。
いつもの笑顔だ。
よ、よかったぁぁ。
「キットンがな、今日の朝、大騒ぎしてたんだよ。」
「なんて?」
「薬が出来たって。」
「え…もしかして飲んじゃったの?」
やばい、大丈夫だって思ったけど。
やっぱり、キットンの薬説どんどん大きくなったよぅ。
「違うって。その薬を売った金でな。」
「ギがつくものやって何倍にもして暮らしをいいものにするの?」
「ぴんぽ〜ん!」
私は一つため息をついて大きく息を吸った。
「ばぁぁぁぁぁぁぁか!」
ついでにげんこつをひとつくらわせた。
「な、なにすんだよ〜。」
「あのねぇ〜、そもそもキットンのお金でしょ〜?」
「パステルちゃん、お互い助け合わなくちゃだめだろう?」
キラキラのうさんくさい瞳で私を見つめる。
「何倍にでもして返すんだしさ。」
「それでクレイはどれだけ盗られたんだか…。」

クレイっていつもそうやって盗られてるんだろうな。
人がいいからねぇ…

「トラップ〜!大変です!」
噂の主、キットンがばたばたと私の部屋に駆け込んできた。
「お!いいとこにきた。おいキットン、薬どうだったんだよ?」
「ちょっと、トラップ〜!」
「あ?聞くぐらいいいじゃねぇか。」
「そ、そうだけどぉ。」
「トラップ、その話なんですがね、夢だったんですよ。」
「はぁ〜〜〜?」
「夢…、だったの?」
「はい。あまりにも現実的でしたので。」
「ば、ばっきゃろ〜!」
ぽかり、とキットンにげんこつをする。
もちろんキットンはだまっちゃいない。
「な、なにするんですかあ!」

どたばたと喧嘩を始めた二人をみてため息をついた。

「苦労させないよ」かぁ〜。
トラップとじゃ無理だろうなぁ。
これからも絶対にトラップに振り回されるんだろうなぁ。
「…苦労しそう…」

END


ファイル作成日:2002年10月22日

(C)深沢美潮/迎夏生/角川書店/メディアワークス


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