さきはふ
冬が終わって間もない日。
まだ肌寒い。
それでも春が来てるって感じると心がうきうきするんだ。
まだ花の咲いていない草原でルーミィとシロちゃんが追いかけっこしてる。
ルーミィの髪の毛やシロちゃんのふあふあの毛がキラキラしていて奇麗。
二人ともまるで天使のようにかぁーいい。
隣にはトラップ。
草笛をピューピューと鳴らしてる。
「暇なの?」
「……ああ。」
「ギャンブルでも行けば?」
「へぇ〜。めっずらし〜。そんなこと言っていいわけ?」
「別にトラップのお小遣いでやるんならね。」
「ふぅん。じゃ、いけねぇや。」
「あら、もうないの?」
「ぶぁぁか。盗賊たるものお財布にはいくらか持ってるの。」
「じゃぁ、なんで行けないのよ…まさか…」
「そ。クレイちゃんのお金借りてるの!」
「やっぱりぃぃ。」
本当、クレイってかわいそう。
…本人忘れてそうだけどね…
「それに、ここからおめぇが無事帰れるかどうか問題だよな。」
「なによ、失礼ね。シルバーリーフなんだから迷わないわよ!」
…たぶん。
自信は、ある。
あるけどね…でもどうしょうもないときだってあるよね?
例えば勝手に建物が動いたり、道が動いたり…
そんなこと…滅多に…いやないだろうけどさ。
でも万が一ってこともあるじゃない?
だぁぁぁ。
だんだん不安になってきた。
そんな私をトラップはいじわるそうに見て、ふと立ち上がった。
「んじゃまぁ、オレは帰るかな。」
「ちょ、ちょっと待って。」
「んあ?なんだよ?やっぱり心配かぁ?」
「そ、そうよ。あんたがギャンブルに行かないかどうかね!」
「およ?『行かないの?』って聞いたのおめーじゃん。」
「冗談で言ったの!冗談!」
「あっそ。」
ますますいじわるな目をして座るトラップ。
無造作に置かれた手をぎゅっと握った。
「なんだよ?」
「逃げないように!」
「ぶぁぁか!」
思いっきりそう言ったくせに。
手を払わなかった。
本当は、帰る気もギャンブル行く気もなかったのかもしれない。
だって、とってもいい天気だから。
ルーミィたちを見ると、ちょっと早いちょうちょと追いかけっこしてた。
END
ファイル作成日:2003年6月3日
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