幸せの花束
「あ!結婚式だぁ〜…」
私は、思わず立ち止まってしまった。
今、私はトラップと一緒に買い物をしている途中。
なぜトラップと一緒かというと。
なぁんてことはない。
私が迷子にならないようにくっついて来ただけ。
始めてきた町だもの。
迷子になったって仕方ないよね?
「ねぇねぇ!トラップ。みてみて!二人ともすっごく綺麗だよぉ〜!」
「へぇ〜へぇ〜」
ったく。なによ。その面倒くさそうな答え方は。
ムードもへったくれも無いんだから。
「パステル、こんなん見てねぇで早く帰ろうぜぇ?」
「ええぇつ!もうすこし見てよ?あ。ほらブーケ投げだよ!」
「ん〜?」
「これは、見なきゃ、でしょ!」
「わぁ〜ったよ。」
やったぁ!
[では、1・2・3でブーケを投げてくださいね〜!1・2・3!]
アナウンサーのかけ声とともにブーケが空高く飛んだ。
わぁぁぁっと歓声があがった。
きらきらっと光を浴びている花束はとっても綺麗…!
天高く上がったブーケが下へと帰る。
…と同時に…
「これは私のよ!!」
「次は私よ!!」
「ぎゃぁっぁ!」
「ちょっと卑怯よ!」
「どきなさいよ!」
さまざまな奇声(?)と共にたくさんの女性が落ちかけるブーケに…
いや、落ちたブーケに群がっている。
ぎゃぁぎゃぁ叫ぶ女性たちが取り合っているブーケ…
ブーケだったものは。
まだ争いを続けて取り合っている…
「…なんだぁ、ありゃ。」
トラップが横でつぶやいている。
こりゃ、呆れているな。
私もちょっと…いやかなり呆れていますけど…
ううん。
ブーケ争奪戦に参加していないみんな呆れ顔だよ。
本当「なんだありゃ」だよぅ。
少し日が暮れかけて。
私たちは帰路についた。
少し道が、暗くなったのは。
掃除やらなにやらをお手伝いしてたのよね。
「ちぇ。金にもならね〜ことさせられたぜ。」
トラップ不機嫌そう…
そりゃ、まぁ普通は…不機嫌になるよねぇ。
「あぁぁぁっ!もぅ!結婚式はこりごり…」
「はやぁ。すっごくトラウマ?」
「ああ。」
「じゃぁ、トラップは結婚式しないんだ。」
「ん〜?まぁそうかもなぁ。一種の儀式みてぇなもんだし。めんどくさい。」
「あははは!トラップらし〜!」
「…らしいって…」
「あ、あそこでケーキ売ってる〜!」
「…色気より食い気ってか。」
「なにそれ。トラップはケーキいらないんだ?」
「いる。」
「正直でよろしい!よぅし。買うぞぉ。」
「それより金はあるのかよ。」
「…あ。」
「おいおい。」
「うぅぅぅ…いいや!今日は奮発しちゃえ!いいよね?トラップ!」
おわり♪
ファイル作成日:2001年9月29日
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