芝生
 
「トラップ、風邪ひいちゃうよぉ?」
「うっせぇ。」

芝生の上でゴロゴロしてるトラップの服に土やら草やらついている。
あぁぁ。
先祖代々の緑のタイツまで…

「まだ、寒いでしょ。」
「んなことねぇよ。転んでみろよ。」
「えぇぇ?」

まぁ、良いか。
珍しくトラップからひなたぼっこに誘ってくれてるようだし。
転んでみよ。

「あれ?あったかい。」
「だろ?」
「春が近いんだね。」

まだ寒い寒いと決め付けてたらいけないね。

「それにしても珍しいね。」
「なにがだよ?」
「トラップが外でゴロゴロしてるのが。」
「そぉかぁ?」
「うん。」
「ま、たまにはな。」
「ふぅぅん。」
「…たまにじゃねぇとみえねぇし。」
「なにが?もしかして珍しい天気でもあるの?」

トラップのことだ。
変なことに詳しいんだよね。
キットンの方がもっと詳しいけどさ。

ワクワクしながら答えをまってると。
にやっとして立ち上がった。

「けいとのぱんつ!」

一言残すとぴゅ〜っと春風と共に去っていった。

「ば、ばかもの〜!」

END


ファイル作成日:2003年6月3日

(C)深沢美潮/迎夏生/角川書店/メディアワークス


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