〜雪だるま〜
「あ、溶けかけてる。」
「あ?」
「雪だるま、溶けかけてるの。」
私が窓の外を指差すと隣でトラップも窓の外を覗く。
「あぁ〜、今日暖かくなったからな。」
「うん。ねぇ。」
「あんだよ。」
「雪だるま溶けるのって寂しいね。」
「はぁ?なんでだよ?」
トラップがわけわかんね、って顔するけど。
でも、でもさ。
わからないかなぁ?
雪だるまと一緒に思い出も溶けちゃいそうで。
なんだか、寂しい気持ちになるんだ。
雪まみれになりながらはしゃぐルーミィとシロちゃん。
はしゃぎすぎて自分達が雪だるまになりそうになってたっけ。
それを慌てて止めてるクレイ。
でも慌てすぎてこけちゃってクレイまで雪まみれになちゃったんだよね。
それを助け起こすノル。
そうそう。
そんな時、事件が起こったの。
トラップに雪だるまにされそうになったキットンがなんとバンザイ魔法。
当然のようにひょいっとよけたらそれがノルに当たってバンザイ。
クレイはまた雪またまた雪まみれ。
ルーミィもそれをみてキャッキャッと笑い転げて雪まみれ。
みぃ〜んなみぃ〜んな雪まみれになりながら大きな大きな雪だるまを作った。
「楽しかったなぁ…」
私が雪だるまを見ながらつぶやいたら。
「じゃぁ、また作ればいいじゃん。」
トラップが呆れたようにつぶやいた。
あまりに意外な台詞にびっくりしていたら、
「んだよ、その目は。」
ってデコピンされてしまった。
「痛いなぁ、もう。なにするのよぉ。なにもあーたに言ってないのに。」
「意外だなぁとか思ったんだろ、どうせ。」
「……あたり。」
そう言うとトラップはまたデコピンした。
もぉ、もぉ。
トラップをにらみつけてやったら、ピュゥっと口笛吹いた。
「…そうね、また作ればいいか。」
「おう。」
そうだよね、雪だるま溶けても思い出が本当に無くなるわけでもないし。
新しく作るきっかけになるわけだし。
それって、思い出もまたたくさん増えるってことでしょ。
素敵かもしれないね。
暖かな日差しに照らされ雪だるまが光っていた。
END
ファイル作成日:2005年1月1日
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