星空
私は迷っていた。
まぁ、いつものことだし、それほど不安でもない。(…ナサケナイ…)
もう空は真っ暗で、キラキラと星が輝いている。
昔の人はこの星を見て旅をしていたと聞いたことがある。
渡り鳥たちもまた、星をみて遠くの国へと渡って行くらしい。
だからといって、私が星空を見て道がわかるはずもなく。
ただ街中をグルグルと迷うしかない。
ここが森やダンションでないことが不幸中の幸い。
モンスターに襲われることはまずないだろう。
「…でもいつまでも迷うわけには行かないよねぇ〜…」
ルーミィきっとぐずってるだろうなぁ…
「うぅぅ。ダメダメ、落ち込んじゃ。しっかりするのよ、パステル!」
自分で自分を励ますほど情けないってないね。
「君、なぁ〜にしてるの?」
「うひゃ!?」
声がしたほうを振り向く。
そこには…
赤毛のいじわるそ〜な顔をしているアイツがいた。
「…トラップ・・・」
「あんだよ、その顔は。」
「べ、べつに。」
あぁぁぁぁ。
急に心臓がバクバクしだした。
今日、迷う前にクレイがいったこと。
『この町は、悪い奴が多いらしいから独りで外を歩いちゃだめだよ。』
「ったく。また迷っていたろ?」
「はい。全くその通りです。」
「クレイに注意されたこと覚えていたか?」
「ついさっきまで忘れてました。…エヘ。」
「エヘじゃね〜よ、ぶぁぁぁっか。」
「ふひゅぅぅぅん。」
トラップめちゃくちゃ怒ってるよぅ。
「トラップ、ごめん〜。」
「はぁ、まぁパステルが迷うのはいつものことだしなぁ〜。」
今度は呆れ声。
うぅ。言い返すお言葉もありません…
どぅせどぅせ…
「…だぁら、目が離せないんだよなぁ?」
「なぜに半疑問形?」
「さぁ。」
…さぁって。
この会話成り立ってないし。
「ほれ、帰るぞ。ルーミィがぐずってうるせ〜から。」
「はいはい。」
私は星空を見上げた。
私には、道を示してくれる星空がまだまだ必要だなぁ。
もしかしたら一生?
ううん。
いつか絶対、少しでも方向音痴をなおすもんね。
「ねぇ、トラップ。」
「ん〜?」
「もう少しだけ私の星空になってね?」
「はぁ〜〜????」
「…私は迷える渡り鳥だから。」
END
ファイル作成日:2001年12月9日
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