おつきみ 

「ねぇ、トラップ!お月見しよ!おつきみ。」
「あ?なんなんだよ。いきなり。」
「だってだって。お月様がとぉ〜っても綺麗なんだもん!」
「ルーミィか、てめぇは。」
ぶぅ。
そりゃまぁさ。
子どもっぽいかもしれないけどさ。
でもでも。
今日のお月様とっても綺麗なんだよね。
ルーミィやシロちゃん誘おうと思ったんだけど。
さすがにもう夢の中。
この時間に起きてる方がおかしいくらいの深夜だもん。
起きてるのってトラップぐらいだよ。

今日はギャンブルで夜遅くまで帰らなかったみたい。
深夜までギャンブルしてた奴なんて本当は怒らなきゃならないんだけど。
お月様をみて気分が変わっちゃった。
私が起きてしまったほどの明るい光り。
窓から見てもいいんだけどさ。
外で見たらきっともっと奇麗だろうなって思っちゃうのもしかたないよね。
本当は一人でお月見しようと思ったんだけど。
ちょうどトラップが帰ってきたから誘ったんだけど。
やっぱりというか、なんといいますか。

「ねぇねぇ、お願いだから!」
「ヤダ。」
「ケチケチケチ!」
「へぇへぇ、おやすみ。」
トラップは軽く手を上げ部屋へと帰ろうとする。
「ぶぅ!本当にトラップのけちんぼ!」
「…ふたりでなに騒いでいるの?他のお客さんに迷惑だよ。」
「あ!クレイ!」
「しっ!大きな声だしちゃだめ。」
はわわわ。
「トラップ、今帰ったのか?」
「おお。」
「ったく。またギャンブルだろ。」
「いいじゃん、別に。」
『よくない』 
クレイの声とハモった。
「仲の良いこと。」
「なによぉ、それ。」
「ところでパステルはどうしてこんな時間に起きてるの?まさかトラップ待ってたのか?」
「まっさかぁ。こんな奴待つわけないじゃん。」
「あのなぁ。」
トラップの声は無視して。
「今日ってさ。お月様がとっても明るいじゃない?だから目がさめちゃったの。」
「あ、オレも。で、」
『外で見たくなった。』
「やっぱり!?クレイも?」
「しぃ〜っ。」
「あ、ごめんなさい。」
ついつい大声がでちゃった。
「オレさ、ちょっといった丘にいってみようと思ってたんだけどパステルも行く?」
「いくいく!」
わぁい!
嬉しいなぁ!
やっぱりクレイと私って気が合うよね。
不思議〜。
「早速行こうか。パステル。」
「うん!じゃ、トラップ。おやすみ。」
「…オレも行こうかなぁ。」
「ええっ。」
「なんだよそれ。」
なんだよそれって。
だって。だって。
「興味なかったんじゃないの?」
「興味なんてねぇけど、おめぇら二人で行って迷子になったら困るし。」
「ならないよ。クレイもいるし。」
「いぃ〜っや!クレイはおっちょこちょいだし。」
「それもそっか。」
「…パステル。ちょっとくらい否定してくれても…」
あ、クレイがしょぼんとしちゃった。
「ごめんごめん。」
「まぁいいや。行こうぜ二人とも。」
「うん!」
「おぅ。」

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「ふぁぁぁぁ!きれぃ〜。」
やっぱり窓から見るのと全然違う。
大きくてまぁるぃお月様がすぐそばにあるみたい。
まわりの星達もとっても奇麗。
「クレイ、来てよかったねぇ。」
「うん。そうだね。」
「トラップも来てよかったでしょ?」
「ふん。まぁな。」
ふふふ。
全く照れ屋さんだなぁ。
「明日も満月かなぁ。」
「ま、一応満月だろ。」
「うん、一応ね。」
クレイとトラップが賛同してくれた。
明日はルーミィたちも誘おうかなぁ。
でも、満月って夜遅くじゃないと出ないよね。
「満月ってなんで夜遅くなんだろうね?」
「そうだね、不思議だよね。」
クレイ首をかしげた。
ふぅ〜む…
「そりゃま、あれだろ。」
「なぁにトラップ。」
「照れ屋なんだろ。」
………。
意外とロマンチストだったんだね。トラップ。
「でもさぁ。」
「でもねぇ。」
『トラップには負けるよね。』
またクレイと奇麗に声がハモった。
私とクレイは顔を見合わせ笑いあった。
トラップは憮然とした顔でいった。
「いいんだよ。べつに。」
ぷいっとそっぽを向くトラップをみて。
クレイと一緒に笑いあった。
「だいじょうぶだよ。トラップ。」
「そうそう。皆わかってるから。」
「うっせぇ。さっさとおつきみしまくって帰るぜ。」
あはははは。ほんっと照れ屋だなぁ。
でもま、そこもまたいい所…だよねぇ?
でも、ポーカーフェイス上手いのになんで照れを隠すのは下手なんだろトラップ。

私がトラップに聞くとにやっとしていった。
「そりゃま、なげぇ付き合いだしな!」
……………
よく意味が分からないけど。
ま、良いことを言っていることにしよう。

私はお月様を見てそう決めた。

END


ファイル作成日:2002年1月30日

(C)深沢美潮/迎夏生/角川書店/メディアワークス


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