ゆき

ずんずんと積もってゆく雪。
見渡す限りの銀世界。
明日は、ルーミィは大喜びして遊ぶんだろうな。
月明かりを受け、舞う雪は本当に幻想的。
まるで妖精が踊っているようにも見える。

「まだ、起きてたのか?」
「トラップ・・・。」
あくびをしながら私のほうへ来る。
「トラップこそなんで起きてるの?」
「外があかるすぎんだよ。」
どうだか。
昼でも起きないんだから。
「どぉ〜せお腹でもへったんでしょ?」
「うっ。」
「スープでも作ろうか?」
「んな、おおげさなモンでなくても…。」
「簡単に作れるわよ。」
「ん〜。じゃ頼むわ。」
「はいはい。」

わたしは鍋に水を入れコンロにかけた。
「それにしてもよく降るなぁ。」
「本当。」
明日はカマクラでも作ろうかな?
「おめぇ、カマクラでも作ろうかな、とか思っただろ?」
「な、なんで分かったのよぅ。」
「おめぇは子どもっぽいからなぁ。」
「なによ、それ。スープあげないからね。」
「うそうそ。冗談だって。」

わたしは苦笑いしながら器にスープを入れた。

「はい。」
「おお!うっまそぉ〜。」
トラップはスプーンでスープをすくって、ごくっと飲んだ。
「うめぇ。」
「ありがと。」
ったく。普段もこれくらい素直だったらなぁ。
「なぁ。」
「ん?」
「料理さ。」
「うん。」
「ずっと作ってくれよな?」
「ずっと?」
「ずっと。」

………。

「や、やぁよぅ。たまには交代したいし。クレイやノルの料理も食べたいし。」
「あ〜そ〜。」
「トラップのも食べてみたいような気もするかな?」
「なんだよ、その半疑問形はっ。」
「冗談よ、冗談。」
「ったくよぉ。」

「あ、みてトラップ。雪、まだ降ってるよ?」
「あ?ほんとだな。」
「明日は、皆で遊ぼうね?」
「バイトは?」
「うぅ〜ん。休んじゃえ!」

明日は、きっと楽しい日になるね。

END


ファイル作成日:2002年2月28日

(C)深沢美潮/迎夏生/角川書店/メディアワークス


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