◎ 相続株式を自社に売却した場合の取扱い
 (みなし配当課税の特例)



この取扱は相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合に適用され
事業承継の円滑化 並びに 相続時の納税資金確保等に有効です




◆ 相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例



● この特例は、平成16年の税制改正で新たに導入されました。(措法9の7)


※※※※※※※※※※※※※【 適用要件・時期 】※※※※※※※※※※※※※

 (1)平成16年4月1日以後の相続等により取得した非上場株式で
 (2)その相続 又は 遺贈につき相続税額がある者が、所定の手続きをして、
 (3)相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に
 (4)その相続等により取得した株式を発行会社に譲渡することが要件です

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【 改 正 の 内 容 】

● 非上場株式を相続した相続人が、発行会社にその株式を売却した場合


■ 譲渡した株主について

◆ 改 正 前
  • 譲渡対価のうち、資本金等の額に相当する部分の金額を超える
    部分は ”みなし配当” として課税され、配当所得として総合課
    により所得税が課税
    されていました



  • ◆ 改 正 後
  • ”みなし配当” 課税の対象からはずし、譲渡所得の収入金額と
    し、譲渡所得として課税
    することとされました

  • 相続時精算課税制度で取得した非上場株式を金庫株した場合も、上記が適用できます


    【 改 正 の 効 果 】

    @ 非上場株式の譲渡益課税の税率の軽減 (16年1月1日以後の譲渡から):
    26%(所:20% 住:6%) → 20%(所:15% 住:5%)


    A 所得区分が 「配当所得」 → 「譲渡所得」 になった為、
    相続財産を譲渡した場合の 「相続税額の取得費加算」 の対象となり、

    (※) 譲渡所得金額自体が圧縮されると同時に、税負担も総合課税による場合の
    最高税率50%からは、かなり軽減されました

     
    (※) この特例は、会社法の施行により特例有限会社は、株式会社とみなすこととされたので
    有限会社の出資持分の譲渡にも特例が適用できるようになりました




    ◆ 金庫株解禁に係る税法改正の経緯 (まとめ)



    中小企業が金庫株を利用するケースには?
  • 相続税の納税資金を確保するため (事業承継時)、会社に自社株を譲渡
  • 多数の人に分散された株式を後継者に集中させるため、会社に譲渡
  • ストックオプションの付与や従業員持株会への譲渡に備えて、会社が自己株を買い集める
  • 従業員の退職時にその持株について株式を手放す規定がある場合、会社が当面買い受ける 等々


  • 解 禁 前金 庫 株 解 禁 後
    <上場株 ・ 非上場株
    に関わらず>


    原則、売却株主に譲渡
    益課税(26%)のみ

  • 利益での消却目的の
    場合に限り、売却株主
    に”みなし配当” 課税
  • 上場株式で市場取引 非上場株式や相対取引の場合
    ≪改正後≫

  • 売却株主は10%
    (所7%住3%)


    (平成25年12月31日
    まで)
  • <改正前>

  • 売却株主に
    ”みなし配当”
    課税

  • 総 合 課 税
    (最高50%)
  • ≪改正後≫

  • 譲渡所得課税

  • 取得費加算
    特例あり

  • 売却株主は
    20%

    (所15%住5%)




  • ≪自己株式の取得に戻る≫  ≪取得費加算に戻る≫  ≪物納制度に戻る≫


    中小企業の事業承継等を支援するために、@ 非上場株式の譲渡益に対する税率の軽減 と A 相続税の
    納税資金確保等のため金庫株制度を使った場合、みなし配当課税はせず「譲渡益課税」に改正されました。




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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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