◎ 役員・みなし役員・使用人兼務役員



法人税法は、小さな同族会社から上場している大企業まで、全ての法人を対象としている為、課税の公平の見地から、税法独特の規定を設けているものがあります。その一つの例として、”みなし役員”と”使用人兼務役員”の規定があります。


【 みなし役員 】の定義



  • 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事 及び 清算人、並びに これら以外の者で、法人の経営に従事している者のうち、一定のものをいう。 (法人税法第2条 《役員の定義》 )


  • 税法上の役員は、会社法上の役員(下図)より、その範囲が広くなり、その増えた範囲の中にいる人も役員とみなされ、これを ”みなし役員” といいます

    図示すると、

     役員 (取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人)会社法上の役員税法上の役員



     使用人以外のもの (相談役 ・顧問等)みなし役員
     同族会社の使用人で、一定の要件を満たす者(※)


    (※)一定の要件を満たす者とは、下記の3つのいずれにも該当する者です。

    (1) 株主グループの第1〜3順位まで順次合計して、持株割合がはじめて50%以上(※)
     なるグループに属している事
    (2) 属するグループの持株割合が10%を超えていること
    (3) @ : その判定をする者
     A : @の配偶者
     B : @とAの持株割合が50%以上(※)である他の会社

     上記@ABの持株割合の合計が 5%を超えていること
  • (※)平成15年4月1日以後に開始する事業年度からは、50%超に改正されました


    ◎みなし役員となった場合の影響

      法人の役員に支払った賞与は、利益処分賞与でない限り 損金不算入ですが、この、みなし役員と
      なる者に支払った賞与も 損金不算入とされます。


    ま と め (当事務所の考え方)
    みなし役員と判断

    される場合
     @ 持株割合
     A 会社の経営に従事
     (会社の主要な業務執行の意思決定等に参与しているかどうか?)
     《参考》 日常業務における管理者としての責任を負っているのみである場合
          などは 「その法人の経営に従事しているもの」 とは言い難い



  • 【 使用人兼務役員 】の定義



  • 役員 (社長・理事長・その他 一定の者 (※) を除く) のうち、部長、課長、その他法人の使用人として職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいう。 (法人税法第34条D)

  • (※)一定の者とは、(法令71条)

     @ : 社長・理事長
     A : 副社長・代表取締役・専務取締役・専務理事・常務取締役・常務理事・清算人・その他これら
        のものに準ずる者 (会計参与を含む)
     B : 合名会社、合資会社の業務執行社員
     C : 監査役 及び 監事
     D@〜C以外の者で、同族会社の役員のうち、一定の要件を満たす者
       (前記の ”みなし役員” の判定の持株割合を満たす者)


    ◎使用人としての職制上の地位
      ○ 支店長・工場長・営業所長・支配人・主任等を言い、
      × 総務担当・経理担当・技術担当等はダメです。

    以上から、平取締役で、使用人としての職制上の地位を有し、かつ、その職務に常時従事しておれば、使用人兼務役員になり得ます。 但し、みなし役員は 使用人兼務役員にはなれません。


    ◎使用人兼務役員の効果

      (1) 使用人分賞与が損金の額に算入されます。
      (2) 使用人分報酬を定款、又は 株主総会の決議において、役員報酬に含めない旨定めている場
         合は、使用人分報酬が役員報酬とは別枠として計算されます。
       (注) 使用人兼務役員に対する賞与を、他の使用人と異なる時期に支給したものは、
         不相当に高額なものとみなされ損金不算入とされます
    (法令70三) (法基通9-2-26)


    ま と め (当事務所の考え方)
    使用人兼務役員

    になれないもの
     @ 社長等 特定の役員でないこと
     A みなし役員と判断されたもの
     《注意》 特定の役員には、上記のみなし役員の判定の @ 持株割合要件
          満たす役員が含まれます (使用人兼務役員になれません) 


    使用人兼務役員に該当しなくなった者に支給した退職給与の取扱い (→)




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    税法は、課税の公平を期すため、使用人でも一定の場合には、役員となる者(みなし役員)を定め、
    一方で、 役員でも一定の場合には、使用人としての部分を認める(使用人兼務役員)という規定をしています。




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