◎ 借地権課税 (2)
 (個人間の使用貸借)



地主:個人  借地人:個人間における使用貸借通達



◆ 使用貸借の実務


◎ 使用貸借契約は、代表的な片務契約 (当事者の片方のみに義務を課す契約)

 借   主貸   主
権 利目的物を原状復帰して返還を受ける権利
義 務目的物を原状復帰して即時返還する義務



◆ 個人間の使用貸借に関する規定


【原  則】
相続税法

(第9条)
  • 対価を支払わないで、又は 著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、
    当該利益を受けた時における当該利益の額に相当する金額を 当該
    利益を受けた者から贈与により取得したものとみなす



  • ■  《昭和48年11月1日付け》  個人間の使用貸借契約に限定
    相続税個別通達
    「使用貸借に係る土地についての相続税 及び 贈与税の取扱いについて」



    <使用貸借通達1>
    ◎ 相続税の個別通達による取り扱い

    ○ 使用貸借による土地の借受けがあった場合
    借主の取り扱い貸主の取り扱い
    借地権の価額なし
    土地の使用権の価額はゼロ
    自用のものとしての価額
    更地として評価

    (注) 使用貸借に係る土地を評価する場合、当該土地の上に存する建物等の 自用
        又は 貸付けの区分にかかわらず、同じ取扱い ⇒ (自用地価額で評価)



    ● 昭和48年11月1日前 においては、
    個人間の使用貸借に関して
    相続税 ・ 贈与税課税がされていた時期がありました




    <使用貸借通達 6>調整規定
    土地の使用貸借に関して 借地権相当額の課税が行われた場合

    (贈与税の課税が行われていたものとして取り扱う場合 (※) を含む)

    (※) 各国税局単位により、過去にその取扱いが異なっていて一律に処理できない


    通達の内容

    使用貸借
    に関して
    贈与税
    (借地権)
    が課税済
    みの場合
    (※)
    使用貸借通達 6
     
    (1)建物所有者
     に異動があり
    異動時に借地権課税
    が行われていない場合
    建物を相続等に
    より取得した場合
    借地権
    課税なし
    異動時に借地権課税
    が行われていない場合
    土地を相続等に
    より取得した場合
    自用地
    評価
    異動時に借地権課税
    が行われた場合
    土地を相続等に
    より取得した場合
    底地
    評価
     
    (2)建物所有者
     に異動がない
     土地を相続等に
    より取得した場合
    底地
    評価


    以上から、実務では


    実務
    判断




     (@) いつ、使用貸借契約が締結されたか?
          (S48.11.1前かどうか?)
        前の場合、経過的な取扱いがなされていた
         (各国税局単位により取扱いが異なっていた)
     (A) その地域における借地権設定時の借地権利金
         収受の慣行の定着時期は?
          (借地権の設定の時期との関係)
     (B) 公租公課に該当する金額以下の金額の授受か?
     (C) 借地権相当額の課税が行われたかどうか?




    ◆ 個人間の土地の使用貸借 ・・・・ 「確認書」 「申出書」 を使用する場合


    「借地権の使用貸借に関する確認書」 → 借地権者からの使用貸借
    個人が借地権を
    もっている人か
    ら借地権を転借
    その借地権の目的となっている土地の
    全部又は一部を使用貸借によって転借
    し、その土地に建物等を建てた場合
    転借権について贈与
    があったものとはみない
    その使用関係が 使用貸借によっていることを確認するため、
  • 「借地権の使用貸借に関する確認書」 を税務署に提出



  • 「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」 → 底地を取得した人との間で使用貸借に変更すると
    借地権の目的と
    なっている土地を
    その借地権者
    以外の者が取得


    (底地を
    借地権者以外
    の者が取得)
    新しく
    地主となった人
    と 借地権者との間
    地代の授受が
    行われない
    ことと
    なった場合
    は、
    その時点で、
    借地権の評価はゼロ
    となり、それまで
    借地権を有していた
    借地権者が借地契約
    使用貸借に変更
    することによって

    借地権を消滅させ、
    地主に返したと考えられ
    原則として、
    借地権者から地主
    への借地権の贈与
    があったものとみる

    ことになっています
    土地の使用者 と 地主の連署による
  • 「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」 を税務署に提出
     することにより 贈与がなかったものとしての取扱いが受けられる




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    個人間の使用貸借であっても、昭和48年以前では課税されていた時期があり注意が必要です。



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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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