◎ 資本的支出 と 修繕費の区分について



古くて 新しい よく争点となる実務的な問題です



◆ すべて 「修繕費」 として経理処理できるとは限りません


支出の名目 (請求書 ・見積書などが修理・改造等となっていても) 如何にかかわらず、
実質によって判断(事実認定)され、資本的支出に該当する場合があります。


資本的支出となった場合
減価償却の対象とされ、償却費の額しか費用とならない




資本的支出 と 修繕費の違い

資本的支出となる場合
(法令132)
内    容例  示経理処理
(1)支出や改良等の支出金額のうち、その
固定資産の使用可能期間を延長させるような部分の金額 (耐用年数を延長させる部分)
  • 増築 ・拡張 ・
    延長等価額の
    増加をもたらす
    もの

  • 用途変更のための模様替え
  • 固定資産の取得
    価額に加算
    (2)その固定資産の価額を通常の価額より増加させるような部分の金額 (価額を増加させる部分)
    (3)品質を上昇(向上)させる改良など、通常の維持管理に加え価額の増加等をもたらす混合取引
  • 木製の窓枠を
    アルミ製窓枠に
    取替える場合等
  • 一部 固定資産の増加、
    一部 費用処理


    修 繕 費となる場合
    内    容例  示経理処理
    固定資産の通常の維持管理 及び 原状回復
    のため
    等の修理費用 (消極的な支出)
  • 家屋又は壁の塗装
  • 畳の表替え、毀損した
     瓦 ガラスの取替え
  • 障子・襖の取替え 等
  • 支出年分の
    費用に算入




    ◆ 工事関係の科目区分(分類)について

  • 建物を建築するに際しての上棟式費用は建物の取得価額となる。(その年の費用にならない)
  • 工事関係については、事実認定の部分が多く、工事の内容(明細)等により科目区分を判断した明細書を作成しておくとよいです。(後日、税務調査等で答えられる様 また思い出せる様)



  • ◆ 資本的支出 と 修繕費の区分 (法基通7-8-3〜7-8-6) (所基通37-12〜37-14)

    一の修理、改良等のために要した費用の額のうちに、資本的支出であるか修繕費
     であるかが明らかでない金額がある場合には、『基本通達』で定めている下記の
    『資本的支出の形式基準』 による処理を認めることとされています



    修理 ・ 改良等に要した費用


















     
    20万円未満か?
    yes
















    ↓no
     
    周期がおおむね3年以内か?
    yes
    ↓no
    yes
    明らかに資本的支出の部分か?
     
    ↓no
     
    明らかに修繕費の部分か?
    yes
    ↓no
     
    60万円未満 or 前期末の取得価額 (注) の10%以下か?
    ( 形式基準 )
    yes
    ↓no
    yes

    金額 B
    継続適用で、資本的支出70%、修繕費30%の基準を適用?
    ( 特例 )
    yes

    金額 A
    ↓no
    yes
    実質により判定した場合、資本的支出か?
    no


     A : 支出金額×30% 又は 前期末取得金額 (注)×10% のいずれか少ない金額
     B : 支出金額 − A
    (法基通7-8-5)

    (注) 資本的支出の取得価額の特例の適用を受けた場合は、本体についてした資本的支出を含む
    (法基通7-8-4)




    ≪減価償却制度の改正に戻る≫  ≪不動産所得に戻る≫

    ≪個人決算に戻る≫   ≪法人決算に戻る≫   ≪業務案内に戻る≫



    固定資産(償却)に関しては、この資本的支出と修繕費のほかに個人事業の場合の強制償却がよく争点になります。個人では、所得税法の規定に従って計算した減価償却費の額に満たない金額を償却費として必要経費算入していても、その満たない部分については、償却がされたものとして取り扱われるので、注意が必要です。



    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/