◎ 借地権課税 (2)
(相当の地代・無償返還届)
地主:個人 借地人:同族法人の場合の税務上の取り扱い
● 昭和38年創設 権利金に代えて、「相当の地代方式」 法人税基本通達整備 |
権利金の収受に代えて、土地の使用の対価として相当な地代を収受している場合には、 当該借地取引は、正常な取引条件でなされたものとする (権利金の身代わり) |
◎ 昭和55年 <法人税基本通達> に基づく 『相当の地代』 の年額の計算方法 |
(法基通13−1−2) |
− 入り口段階では、下記のどれでも可。 出口段階では、3年平均に限定 − |
○ 「相当の地代」 の年額の計算方法
★ 入り口段階 ⇒ 次の4通りの計算方法のうち、いずれかを選択 | 改 正 年 |
(1) | その年の通常の取引価額 (時価) × 年6% | S38 |
(2) | その年の公示価格や標準価格から合理的に算定した価額 × 年6% | S55 |
(3) | その年の財産評価基本通達により計算した価額 (相続税評価額) × 年6% | S55 |
(4) | (その年の相続税評価額+その年の前年の相続税評価額+その年の前前 年の相続税評価額) × 1/3 (相続税評価額の3年平均)× 年6% | S60 |
年8% → 年6%は、平成元年3月30日付けで改正 |
● 昭和55年12月25日 (通達全文改正) により、「相当の地代」 の取扱いを受けるもの |
(法人税基本通達13−1−8) |
S 55年12月25日前に借地権の設定 | S 55年12月25日以後に借地権の設定 |
右記の通達の適用を受ける事ができる
但し通達の改正日以降、概ね3年以内 に適用関係 (改定型 ・ 固定型) を届け出る | 地代の改定型 ・ 固定型を選択し届出 (届出書あり)届出がない場合は、固定型を選択したもの とする |
− 権利金 と 地代との関係は、一方が高くなれば他方が低くなるという逆相関関係に立つ − |
● 昭和55年 法人間の使用貸借 ・無償返還届 法人税基本通達の見直し |
法人が賃借の当事者となっている土地の貸借取引の場合でも、権利金を収受せず、 相当の地代を収受しない 「使用貸借契約」 の形態があることを容認 |
「土地の無償返還に関する届出書」 → 借地権利金の認定課税が免れる 但し、相当の地代の認定課税 (→地主:法人の場合) は行われる |
(法人税基本通達13−1−7) |
個人間における土地の貸借については、この取り扱いの適用なし |
当事者間において、財産権としての借地権の価値認識を保有しない |
貸主に対して支払われる地代の額を制約しない (無償を要求しない) 「賃貸借」 「使用貸借」 にかかわらず行うことが可能 |
「土地の無償返還に関する届出書」 を出す場合の条件 |
○ 法人が土地の貸借取引の一方 又は 双方である場合 ○ 権利金を収受した場合はダメ ○ 特別の経済的な利益を受けた場合もダメ (
保証金を預る場合は、月額地代の3ヶ月分を限度) ○ その土地を無償で返還する (立退料をもらわない) ことを定めている契約書 ○ 権利金の取引慣行のある地域 (借地権割合30%未満の地域でない)
税務署に2部提出 |
↓ |
無償返還の届出書を提出し 借地契約中の場合 |
賃貸借契約 | 使用貸借契約 |
借地借家法上の使用収益権が保護される
利用上の制約を受け20%評価
財産権としての借地権なし | 借地借家法上の使用収益権の保護なし
自用地 (更地) 評価
財産権としての借地権なし |
≪借地権の認定が行われない場合に戻る≫
≪普通借地権に戻る≫ ≪駐車場経営に戻る≫ ≪生活に戻る≫ |
相当の地代の年額は、借地契約の入り口段階は4つの方法から選択でき、出口段階では相続税評価額の3年平均です。
尚、昭和55年の改正により取引の当事者の少なくとも一方が法人の場合についても、無償返還の届出ができることとなりました。
mail: hy1950@manekineko.ne.jp
tel: 06-6681-2144 税理士 服部行男
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