◎ 代償分割とは?
 (分けにくい遺産の相続)



遺産を現物分割できない場合の「 遺産分割の一方法 」



◆ 「 代償分割 」 とは?


代償分割
とは?
相続人の1人 又は 数人が、他の相続人より多くの遺産を相続する代わりに、
他の相続人に対してその差額分を償還債務として負担 (金銭や物で支払う)

代償に充てる財産は、相続人固有の財産 (死亡保険金でも可)
代償分割の
メリット
事業用の土地 ・建物を分割せずに 特定の相続人に継がせたい
場合など、他の相続人の権利を侵害しないで、又 遺産を分割
しないで取得することができます

◆ 代償分割をする場合には、『遺産分割協議書』 にそのことを記載しておくこと



◆ 「 代償分割 」 の課税関係


相 続 人相 続 税 の 計算  (相基通11の2-9)
代償金を払った人
  • 相続財産は、承継した相続人の相続財産
  • 支払った代償金は、相続財産から差し引く
  • 代償金を貰った人貰った人が、代償金に相続税が課税される

    代償財産の額

    相基通11の2-10
    代償債務
    の額
    ×代償分割の対象となった財産
    相続開始時の相続税評価額
    代償債務の額の決定の基となった
    代償分割財産の代償分割の時の時価


    代償分割で支払う財産が 「 現 金 」 の場合

    ≪ 例 ≫ 代 償 分 割
     (1) 相 続 人 :  長男、 二男
     (2) 相続財産 : 土 地
          (時価 : 1億円、  相続税評価額 : 8000万円)
     (3) 長男が土地を相続する代償として、次男に現金3000万円を支払う


    長男の取得財産の価額次男の取得財産の価額
    8000万円 − 2400万円(※) = 5600万円2400万円(※)
    (※)代償財産の額・・・・(相基通11の2-10但書)不動産取得の有利性の調整
    3000万円 × (8000万円÷1億円) = 2400万円

  • 相続財産を取得する際に支払った代償金は、譲渡所得の計算上、取得費に加算できない
    (所基通38-7)
    長男が代償分割として負担した3000万円は、相続取得した土地の取得費にはならない


    代償分割で支払う財産が 「長男所有の不動産」 の場合

    ★ 次男に土地を売却したものとして、長男に 「譲渡所得税」 が課税される



    ◆ 代償分割が予測される場合には ・・・・ 遺産が少なく土地 ・建物など分割しにくい財産の場合
    兄弟間の関係が良くなく、兄弟の権利意識が強い場合

  • 分割しやすい財産
  •  現金、預貯金、(上場) 株式その他の有価証券など
  • 分割しにくい財産
  •  土地、建物、事業用に使用している資産、借地権など

    不動産の兄弟間での共有は、将来もめるもと・・・・お勧めできません



    ★ 相続の際、分割が難しいと考えられる場合
    生前から、生命保険契約等を利用して代償資金を準備しておくべきです



    (A) 父親自身が、将来の相続のことを考慮し生命保険に加入する

    保 険 契 約保険金の課税関係
    保険契約者
    (保険料負担者)
    父  親長男が
    死亡保険金
    【代償金に充当】
    みなし相続財産
    保険金受取人長  男
    被保険者被相続人(父親)


    (B) 不動産を相続する長男が、相続財産を考慮し生命保険に加入

    保 険 契 約保険金の課税関係
    保険契約者
    (保険料負担者)
    長  男長男が
    保険金受取
    【代償金に充当】
    一時所得課税
    保険金受取人
    被保険者被相続人(父親)


    代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合の取得費加算額の計算



    ≪遺産分割に戻る≫  ≪生命保険活用に戻る≫

    → 業務案内に戻る



    遺産分割に際し、財産や承継人の関係で「現物分割」が難しい場合は、この「代償分割」という方法があります。
    但し、代償財産として土地等を渡す場合には 別途 譲渡所得税がかかるので注意が必要です。




    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/