◎ 会社法のポイント (2)



18年5月1日から施行  会社法制の現代化の <ポイント> 主な内容



◎ 従来の法律との関係
従来あった法律新たにできた法律
 ● 商 法 のうち、第2編
 ● 有 限 会 社 法
 ● 商 法 特 例 法
会 社 法



最低資本金制度の廃止

  • 設立 や 株式の発行に際しては、払い込まれた財産の額を資本金とします (445条@) が、
    2分の1を超えない額を資本金に計上せず、資本準備金とすることもできる
    (445条AB)
  • 最低資本金規制がなくなったので、資本の部の構成を簡単に整理することが可能になった

    無償減資 (欠損填補)   増 資    法定準備金の取り崩し

    従   来改 正 後
    株式会社 : 1000万円な  し
    有限会社 :  300万円



    取締役会を設けない株式会社について、監査役を設けないなど従来の有限会社形態の選択が可能

  • 取締役会を設けない株式会社は、取締役の人数が1名でもよく、監査役を設けなくてもよい


    取締役会設置会社においては、取締役は、3人以上 → 取締役の責任は?
    取締役会設置会社は、監査役を置かなければならないが、非公開会社で会計参与
      設置会社はこの限りでない



    株式の譲渡制限を有する株式会社について、役員の任期を10年以内に伸長し、監査役の権限を会計監査に限定可能

  • 監査役の権限を会計監査に限定 (限定監査役) した場合は、監査役を置いていても
     「監査役設置会社」 (2条9号) には該当せず、株主が取締役会の招集を請求でき、
    業務監査に近い権限を持つ


    役員とは、取締役、会計参与 及び 監査役をいう
    公開会社とは、発行する株式の譲渡について一部でも会社の承認を要する旨の定款
      の定めを設けていない株式会社をいう

    定     義会社法上の用語
     すべての種類の株式に譲渡制限がある会社公開会社でない株式会社
     一部の種類の株式に譲渡制限がある会社公開会社
     すべての種類の株式に譲渡制限がない会社



    ◆ 株式の譲渡制限を有する株式会社は、定款で株主毎に異なる取扱いを定めることが可能

  • 株主ごとに、株主の権利につき、定款で異なる取扱いをする旨定めることが可能
  • 定款に定めを置くことにより、権利内容の異なる2以上の種類の株式の発行が可能

  • 株主の権利とは、利益配当請求権 ・ 残余財産分配請求権 ・ 議決権など



    会計参与制度の創設

  • 公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人は、会計参与に就任して、取締役
    と共同して計算書類を作成することができる
    (374条@)

    株式の譲渡制限を有する株式会社は、会計参与を選任した場合には、監査役を設け
      なくてもよい (327条A)


    株券の不発行を原則化  (持株数による株主の権限は?



    ◆ 利益準備金 と 資本準備金の事実上の統合

  • 配当金額の10分の1を、利益準備金 又は 資本準備金として積み立てる (445条C)



    計算書類は、利益処分計算書が廃止され 株主資本等変動計算書を作成


    従   来改 正 後
  • 貸借対照表 (資本の部)
  • 損益計算書
  • 営業報告書
  • 利益処分案 (損失処理案)
  • 附属明細書
  • 貸借対照表 (純資産の部に
  • 損益計算書 (当期純利益まで)
  • 個別注記表
  • 株主資本等変動計算書
  • 附属明細書



  • 利益処分は、定時総会だけでなく、臨時株主総会の決議により随時可能に

  • 期中までの経過利益も、配当の対象にすることができ 回数の制限が廃止
  • 剰余金の配当 の決定機関として、定款の定めにより 取締役会決議で可能

    株式会社は、臨時決算日における臨時計算書類を作成することができる (441条)
    最低資本金制度の廃止により、純資産額のうち300万円までは配当を規制 (458条)

    従   来改 正 後
  • 利益配当
  • 中間配当
  • 剰余金の配当 (453条) (454条@)
  • 中間配当 (454条D)
     (取締役会を置く会社に限る)
  • 利益配当 : 定時株主総会の決議
  • 中間配当 : 取締役会の決議
  • 剰余金の配当 : 株主総会の決議
  • 中間配当 : 取締役会の決議



  • ◆ 利益の配当、中間配当、減資等による払い戻し、自己株式の買取り等をすべて <剰余金の配当> として統一的に規定

    自己株式の譲渡 → 株主総会の特別決議 (募集株式の発行(増資)手続きを準用)
    自己株式の消却 → 取締役会の決議 (どのように減額するかは取締役会で決定)

    剰余金の額 = 前期末の純資産額−前期末の資本金・準備金の合計額+当期中の
      資本金・準備金の減少額+当期中の自己株式の処分益−当期中に消却した自己株
      式の額−当期中に分配した金銭等の額
    分配可能額 = 剰余金の額+当期の臨時決算日までの損益



    ◆ 商号登記の規制緩和 及び 資本金の保管証明について、募集設立の場合を除き、払込証明で可能に

  • 類似商号、同一事業目的の制限がなくなり、同一住所 ・ 同一商号のみ不可
  • 発起設立、増資の場合は 払込証明等でよくなり、払込金保管証明書は不要
  • 設立時の発行可能株式総数:非公開会社は4分の1以上発行という制限なし



    改正後における税法上の 「資本積立金」 「利益積立金」 等の取扱い


    ◎ 会社法に対して、<既存の有限会社がとるべき対応は?> <既存の株式会社がとるべき対応は?



    ≪会社法に戻る≫  ≪事業に戻る≫


    会社法の主な内容の項目列挙ですが、従来の商法改正と異なり全ての会社に影響が出てきます。



    mail: hy1950@manekineko.ne.jp
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/